「女房を質に入れても食べたい!?」江戸っ子が熱狂した「初鰹」に隠された驚きの寿命延長効果とは
新緑がまぶしい5月、スーパーや魚屋さんの店頭を賑わせるのが「初鰹(はつがつお)」です。
さっぱりとした赤身をポン酢やにんにく醤油でいただくのは、まさにこの時期の至福ですよね。
ところで、みなさんはこんな言葉を聞いたことがありませんか?
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
江戸時代の俳人・山口素堂の有名な句ですが、当時の江戸っ子たちの初鰹に対する熱量は、現代の私たちの想像を絶するものがありました。
なにせ、「女房を質に入れても食べたい」とまで言わしめたのですから。
一体なぜ、そこまでして鰹を食べたかったのか?
今回は、知っているようで知らない「初鰹」の裏側に迫ります。
さて、江戸っ子たちが初鰹に命を懸けた理由。
そこには、単なる「食い意地」だけではない、ある「迷信」が関係していました。
当時、江戸では「初物を食べると寿命が750日延びる」と本気で信じられていたのです。
なぜ750日なのかという根拠は諸説ありますが、とにかく「縁起が良い」の最高峰。
さらに、鰹は「勝つ魚(勝魚)」に通じることから、武士の間でも非常に珍重されました。
その人気ぶりは凄まじく、初鰹の時期になると価格は暴騰。
記録によると、一尾の価格が現在の価値で「10万円〜20万円」に跳ね上がることもあったとか。
まさに、下級武士の年俸に匹敵するほどの超高級品だったわけです。
ここで、よく話題になる「初鰹」と「戻り鰹」の違いについても整理しておきましょう。
・初鰹(4月〜6月):
黒潮に乗って北上してくる鰹。脂が少なく、さっぱりとした味わいと爽やかな香りが特徴です。江戸っ子が好んだのはこちら。
・戻り鰹(8月〜10月):
北の海でたっぷり餌を食べて南下してくる鰹。脂がしっかり乗っており、「トロ鰹」とも呼ばれます。
現代の感覚だと「脂が乗っている方が美味しいのでは?」と思いがちですが、江戸っ子にとっては「初物」であること、そして「粋(いき)」であることが何より重要だったんですね。
ちなみに、鰹に欠かせない「タタキ」という調理法。
これ、実は「生魚を食べるのを禁止されたから生まれた」という説があるのをご存知ですか?
土佐(現在の高知県)の藩主が、食中毒を防ぐために刺身を禁じたところ、庶民が「表面を焼いたからこれは焼き魚だ!」と言い張って食べたのが始まりだと言われています。
いつの時代も、美味しいものを食べたいという人間の執念はすごいものです。
いかがでしたでしょうか?
今夜の食卓に鰹が並んだら、ぜひ「これで寿命が2年ちょっと延びるかもね」なんて話を添えてみてください。
あ、もちろん、本当に女房を質に入れるのは厳禁ですよ!
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